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海鳥たちに会いに

Michaelmas cay / Ocean Spirit Cruises (ミコマスケイ / オーシャン スピリット クルーズ)


2015年10月22日

思わず顔をしかめた。眩しくて目が開けられない。肩にかかった双眼鏡に向けて伸びかかったはずの手は、再び、先ほどまでかけていたサングラスを掴んでいた。燦々と降り注ぐ強い日差しを浴び、ゆったりと揺れる船内のデッキから周囲を囲む海を眺める。気がつけば、海の色は先ほどまでと随分異なり、深い青色へと変わっていた。風が運ぶ潮の匂い感じながら、この普段とは異なる風景を楽しもうじゃないか。

 

「山もいいけど、海もいい」

ある著名な動物写真家が以前こんなことを言っていた。その通りだ。同じ景色、同じ生き物ばかりでは、時に変化を欲してしまう。向かうは、南半球最大といわれる海鳥の繁殖地であるミコマスケイへ。ケアンズ沖から北東へ約40kmの地点、グレートバリアリーフに浮かぶ、砂でできた小さな島。8ヶ月ぶりの訪問だ。

 

もう随分と前のこと、ある映像を見た。そこに映し出されていたのは、驚くほど澄んだエメラルドグリーンの海と白い砂浜、そしておびただしいまでの海鳥がひしめき合い、鳴き交わし、飛び交っていた。思わずその映像に釘付けになったことを覚えている。場所は…どかだっただろうか。メラネシアやポリネシアなどの海域に浮かぶ、どこかの島だったかな…。とにかく、「こんな世界があるのか」と驚いた。その映像があまりにも衝撃だったためか、場所も地名も頭の中には残っていなかった。ただ、そこは僕の中で''海鳥の楽園''として記憶の中にしっかりと刻み込まれていた。

 

オーストラリアでの生活が始まって一ヶ月を過ぎたころ、「ミコマスケイに行かない?」友人が、そう声をかけてくれた。その少し前、友人が訪れ、海鳥の写真を撮っていたのを思い出した。鳥が見れるならばと、二つ返事で了承した。

 

時折揺れる船内。肌を刺すような強烈な太陽光に驚いた。市内と沖合ではこうも違うのかと。約二時間後、徐々に船は減速し、船内のアナウンスが響く。外に目を向けた瞬間、はっとした。真っ白な砂でできた小さな島、透き通った海、そしてクロアジサシ、セグロアジサシなど、無数のアジサシ類が飛び交っている。今、自分の目の前に広がる光景、そしてあの時見た映像の記憶。少しずつはっきりとしたものに変わってゆく。

あの時見た映像は、このミコマスケイで撮られたものだと、気がつくまでにはさほど時間を要さなかった。それと同時に、この偶然の巡り合わせに心が満たされてゆく。

 

ひしめく鳥達を見ていると、実に様々行動や表情をしていることに気がつく。

雛は親を探し、餌をねだり鳴く。親鳥達は餌を探しに飛び立つ者、我が子に会いに戻ってくる者。

 

 

 

まだ見ぬ子のために必死で卵を温める者。近場の水面に飛び込む者。残された子は、辛抱強く親を待ち続け、親達もまた子のために奔走する。休息を取る者だっている。そう、彼らはいつだって全力であり、今をひたむきに生きている。この世に生を受け、''生きているから、今この時を生きている''。動物達を見ていると、彼らの姿や生き様から、教わることも少なくはない。

 

彼らはいつだって''今''を生きている。

 

 

 

船が完全に停止した。

「おぉー!!」と一斉に声が上がる。無理もない、初めてこの光景を見れば誰だってそうなるだろう。

さぁ、彼らの世界に到着だ。

 

 

 

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ミコマスケイへは数社がクルーズを開催しており、筆者はいつもオーシャンスピリットクルーズ(下記にウェブサイトのURLを記載した)を利用している。滞在時間も長く、バードウォッチングや写真を撮りたい方にもオススメ。日本人スタッフも乗船しているので、言葉に不安のある方も問題なく楽しめるだろう。また、バイキング形式の美味しいお昼ご飯も人気!

※この記事は、野鳥やバードウォッチングの観点から執筆したが、ミコマスケイではシュノーケリングやダイビングなども楽しむことができます。

 

 

 

※情報は記事作成時のもので、予告なく変更されることがあります。

Michaelmas cay / Ocean Spirit Cruises (ミコマスケイ / オーシャン スピリット クルーズ)

【ウェブサイト】www.oceanspirit.com.au

Takara

幼少期より動物や自然に興味を示す。動物に対する情熱は冷めることなく大学では生物学を学ぶ。在学中ボルネオ島の熱帯雨林を訪れたことをきっかけに野生動物と自然の写真を撮り始める。その後、自然を求め日本各地、東南アジア、アフリカを訪れ、2014年11月よりオーストラリア ケアンズへ。現在はケアンズ周辺の自然に身を置きながら多種多様な生物の写真を撮影中。http://itakara76.wix.com/life-in-the-nature