「自己回帰の地」ケアンズ発・女性目線のオンラインメディア CAIRNS WING

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4WDで小川を渡り、道なき道を進んだ所に、アボリジニの聖地があると言う。Wujal Wujal~彼らの言葉で滝・滝~と呼ばれるブルームフィールド滝がそこだ。

埃たつドライブウェイから数分も足を踏み入れると、穏やかな川と、40mの高さから美しく流れ落ちる滝がこつ然と姿を現す。

 

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彼らが祖先の代から大切にしてきた場所を案内してくれるのがウォーカー一家の女性たちである。

 

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恥ずかしがりやで、人前で話すなんて想像したことがなかったけれど、自分たちの文化を伝えていくことが大切、そして次世代の雇用の機会を作りたいと思ってツアーをしている、とキャサリンさんは言う。

 

「観光客は、ボートの上からワニを探したりするんでしょう?私たちは、匂いと音でどこにいるかわかるのよ。子ども達にも、鼻や耳、目を使いなさいっていつも言っているの」きっと、アボリジニの人たちは五感が研ぎ澄まされていたんだろうなあ、などと思いを巡らせていると、「ほら、出て来た」。なんと、ワニが目の前の川から岩の上によじ上って来たのだった!


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「あなた達の後ろにあるその樹。黄色い花につぼみが付き始めたら亀が食べごろ」「滝の音を聞いていると、もうすぐ誰かが亡くなるとか色んなことがわかる」


「昔は、来てほしくない時に嵐が来そうになると、亀を火にくべた。するとその煙が雨雲をすべて追い払ってくれた」

 

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彼女には、おそらく決まった台本はなく、目に入るもの、聞こえるもの、参加者の質問から、少しづつこんな風に語ってくれる。

「寂しい時は、滝の前にじっと座る。そして笑顔が戻ったら、皆の所へ帰るの」確かに、この滝は静謐で、全てを受け止めてくれるような母のイメージ。代々自然の中で癒され、メッセージを受け取ってきたアボリジニの人々の姿を想像してみた。


「残念ながら、私の子ども達は、もう私たちの言葉を話せない。でもできる限り伝えていきたい。」だから彼女は娘さんをツアーに連れてくる。滝の横の山を指差したキャサリンさんは、「先代は、子ども達をブッシュに連れて行き、ブッシュタッカー(食べ物)や、ヤリの作り方を教えたものだわ。しつけはとても厳しくて、特に年配の人を敬うことに重きが置かれた」と語る。

 

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そして「こうして、色々な国から来た人たちと話しているといつも思うことがある」と続けた。

「皮膚の色が違っていても、誰も同じ赤い血が流れている。We are all one 私たちは皆、1つ」。

大切な場所と、哲学をひとときシェアしてくれたことで感謝の気持ちでいっぱいになった。
帰り際には、聖地の水の入った小さなボトルを手渡してくれた。「私たちの"魂と心、愛(彼らの言葉でWawu)" である水」と言うメッセージとともに。

 


cayco

ひつじ年、おひつじ座。1993年よりケアンズ在住。ケアンズの地元情報誌を1995年に立ち上げ、16年間編集長を勤める。現在は、ケアンズ市内で「オーストラリアのいいモノ」を集めたギフトショップパウチを運営。著書に「家族でケアンズ」(講談社)あり。休日は自然の中でのんびりしてます。http://ameblo.jp/cayco